[試写会] サルバドールの朝
30年前のスペイン。
フランコ政権下、実際に起こった出来事を描いた映画。
主演は、「グッバイレーニン」のダニエル・ブリュール。

!ネタバレアリ・長文注意!

独裁主義に反発する25歳の若者:サルバドール
フランコ独裁政権に反発するため組織の一員となった
サルバドールは、ある日、警察の罠にはまり取り押さえられる。

逃げなければ

彼は、もがき、逃げた…しかし、警察官達に囲まれてしまう。
彼が取った手段は、背中に隠し持っていた銃を撃つことだけ。

激しい銃撃の後、一人の若い警官が死んだ。

警察は、サルバドールを監獄送りにするために
彼が撃った弾以外の弾(=警察官が撃った弾)があったにも
かかわらず、隠蔽し、検死結果を改ざんし
「サルバドールが撃った弾で死んだ」としたのだ。

警察官殺しの彼に下った判決は…死刑。
物語はそこから始まる…。

前半は、サルバドールの反対組織での活動。
後半は、死刑判決に紛争する家族。そして彼自身の姿。

監督の舞台挨拶がありました。

監督自身は
決して彼が行った行為を賞賛しようとは思わない。
彼をたたえるための映画として作ったわけではなく
サルバドールという青年がいたこと、そして彼のような
人間が、今この時代でも生まれる可能性。
死刑制度に対する見方を示唆した。

サルバドールが収監される時、看守の一人が
「あいつ…好青年に見えるが、警官を一人殺したんだぜ」
と、彼の雰囲気と行為のギャップを皮肉る。

映画では、裕福な家庭に生まれた優秀な青年が
反抗勢力へ身を投じなければならなかったのか、
生きたいと願い、苦悩するサルバドールの姿があり
家族をどこまでも深く愛し、愛されていたことが描かれていた。

生きたい、希望はあると思いつつも、
現実を彼はだれよりずっと理解しており、
どうにもならないと心のドコかでおもっていたんじゃないかな。

「殉教とかそんなことは望まない。僕は生きたいんだ」

確かそんな台詞があった。

結果として、彼の死は人々の心を動かす原動力の
ひとつとなったのは、皮肉なのか…。

この映画の見所は、末の妹を思うサルバドールの優しさ。
会いに来ない父への思い。そして父の思い…。

そして、看守:へススとの交流。
当初は嫌悪感と粗暴さでサルバドールを扱っていたへススが
サルバドールという青年の本質に触れ、目に見えるほどの
友情が芽生えていく様がよかった。
看守と言う立場に苦悩し、最後には彼を死なせたくないと
切に願う人物の一人になっている。
きっと出会う時代が異なれば、イイ友人になっていたかもしれないですね。

最後の時、とてつもない死の恐怖と直面しているはずなのに
非常に落ち着き払った彼の言動も注目。
「僕がどうやって殺されるのか教えて欲しい」という願いを
「最後の願い」として聞く心理がわかりません。

そして、後半になるとある老人が出てきます。
当初、牧師さんかなと思っていましたが、身なりや支度している
ものがおかしい…。

この老人こそ死刑執行人。
皆が彼に恩赦が出るようにと奔走している合間、合間のシーンで
着々とサルバドールを殺すための「ガローテ(鉄環絞首刑)」を
作ってるんです。

死刑囚の映画は何本かありますが、
映画の内容も相俟って、こんなにまで非情で冷酷な処刑道具で
執行されるものを見たことがありません。

ちなみに、「鉄環絞首刑(=garrotte)」と日本では書く。
ガローテ、ガロテ、ガロッテなどと言われていて、スペインと
その植民地で主に行われていた処刑法で
「柱につけた鉄環に首を入れさせ,その鉄環をねじで絞めて殺す」。
しかも、「絞首刑や断頭台のようにほとんど一瞬で
死に至らしめる事なく、処刑する側の思うがままに
苦痛を長引かせる事ができる」特徴を持つ、非情でいやらしいのなんの。

色々と思うところがある映画でした。

ここまで、真面目に書いておいてこういうのも場違いだが
へススさんは、「ツンデレ野郎!」と思わずには居られなった。(爆)
そんな看守を演じるのは「カルメン」にも出ている
「レオナルド・スバラグリア」さん。
ブリュール君?とはまたちがった素敵さがプンプンでっす!

Wikiによると、アルゼンチンでは絶大な人気なんだとか!!
納得できるっ(/ω\)

看守姿がパッと見「ジョセフ・ファインズ」に見えました。
帽子脱いだら違った;失礼しました…。

[公式]http://www.salvadornoasa.com/

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