藤原x蜷川の「オレステス」inシアターコクーン

舞台はシンプル。
絶望に打ちひしがれる出演者達の衣装もシンプル。
ただ尊大な人々のみシャンシャンと音を立てる豪奢な衣装。

時はトロイ戦争が終わった後。

父アガメムノンの息子と母クリュタイムネストラの間に生まれた
オレステスとエレクトラ。

クリュタイムネストラは、トロイ戦争の原因とも言える美女ヘレネの双子の姉。
母クリュタイムネストラは父がトロイへ遠征中に愛人アイギストスを家へ入れる。
不倫の発覚を恐れたクリュタイムネストラは、愛人と共謀し、
夫アガメムノンを暗殺。

夫殺しは大罪。
子オレステスとエレクトラは、アポロンの信託を受け
母クリュタイムネストラを殺害するにいたるが…。
夫殺し以上に、母殺しは大罪。
二人は、祖父だけではなく街の者から後ろ指をさされ
処刑を待つ身となっていた。

そこに叔父メネラウスが、ヘレネを連れて戻ったとの朗報が。
二人は、絶望の淵から一気に希望に満ち溢れるが…。

そして最後は、自棄を起こし…

二人の絶望を荒らすかのごとく、舞台は常時「雨」。
出演者は全員ずぶ濡れ状態。

演劇の迫力以上に、「あんなに濡れて風邪ひかないのかしら」と
そっちのほうが心配でした。
しかも、雨音が激しいので、台詞が聞こえづらかったり。

普通の台詞なら聞こえるんですけど、
いかんせんギリシャ神話のくだりを浪々と言う訳で
たまに台詞が掻き消えてしまうと、「今なんと?」みたいな。

ラストは、ギリシャ悲劇特有の「デウス・エキス・マキナ(機械仕掛けの神)」によって
一気に解決してしまう。今回の神は、「声」。

あの…彼らの苦労って…
と思ってしまうが、まさに「お上の裁き」と言わんが如し。

ただ、この状況をどう始末するのか?となると
この神は、本当に体の良い解決法だなと思います。
悲劇に打ちひしがれていた彼らも、見ていたこっちも安堵する結果。

中島朋子さん演じるエレクトラが、凄い。
窮地での絶望、生への懇願。ヘレネへの憎しみ。
ソレで居て、弟オレステスへの愛情が溢れている。
中島さんて「ほたる」位しかしらなかったけど、
今回の迫力のある演技をみて、見る目変わりました!

いやはや、2時間強という時間を休憩無しで駆け抜ける
面白い作品でした。

コメント

菊の丞
菊の丞
2006年10月4日4:02

トロイ木馬トラップ誘導URL(kingbaba.cc)のため削除。

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