厨二病注意
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マーキュリオと別れてから数日後のこと。
新しい従者「イリア」と私は北方の雪深い場所にいた。
道中において共闘するシーンも増えてきた頃だ。
「貴女と出会って自由になった気分。
塔から離れた場所が、こんなにも色々な事であふれているだなんて、
本当についてきてよかったわ。さて、次は、どこへ行くのかしら?」
次はいったいどんな事が起こるのか、赤いカーテンで
染まる空に煌く星と月を見上げながら、イリアはつぶやいた。
急な山の斜面を登ると目の前に一体の巨大な像が見えてきたことで、
より一層彼女の好奇心は膨れ上がった。
従士は、一心不乱にその像を目指し、急な階段を登っていった。
像の周りではパチパチと松明が音を立てて燃え、血なまぐさい異臭が立ち込めていた。
そして、この場所に居を構え、「かのデイドラ」を崇拝する人々は自らの”獲物”を
毎晩のように研ぎ澄まし、来るべき時に備えていた…。
イリア「この像は、一体何の像なのでしょう?信者の方々がたくさんいるようですね?」
エルフ「これは『デイドラ』の像。彼らは、この『デイドラ』の信者。
ほら、そこの石柱に触ってみてください。珍しい現象が起こりますよ。」
イリアは、『何が起こるのかしら』というように、指示した場所へ進み出た。
イリア「こ、これは?!」
彼女が石柱に触れるや否や、ふわりと彼女の身体は浮き、
まるで磁石で引かれるかのように石柱に貼り付けられ、身動きが取れなくなってしまった。
暗闇の中、石柱のまわりに付せられた円陣が、青白く、鈍く輝き始めたかと思うと
まるで誘蛾灯に群がる蛾のように、その輝きを目指して『デイドラ』の信者達が
集まり始めた。
エルフ「この像は『デイドラ』のボエシア」
そういうと、イリアは『デイドラ』の名を小さくつぶやくと
ぞっとしたまなざしで、信頼する従士を真っ直ぐ見つめた。
エルフ「私が『ダークライトタワー』に行った理由。初めて出会ったときに、
貴女は私にこういいましたよね…
『あなたが何のためにこの塔にきたかはしらないが』って…」
イリア「・・・・ま、まさか…」
エルフ「ええ、そのまさかですよ。はじめから、貴女に会うためだったんです。
こうして一緒に『この場所』に来てもらうために、私は
『ダークライトタワー』に行ったんです。
私とあなたの出会いは、『偶然』ではなく、『必然』だったんですよ。
だから、あなたから『一緒に行っても良い』と言われたとき、本当に嬉しかった。」
ボエシアの像を見上げながら、エルフは「私も本当はとてもつらいんです」と続けたが
その顔は裏切りが成功した事に対する喜びに満ちていた。
イリア「どうして。どうして私なの!?」
お約束ともいえる台詞ではあったが、
「あぁやっと言える」とばかりにくすくすと笑いながらエルフは答えた。
エルフ「貴女は、母親の命令で『生贄』を探していた。そして、そのことに疑問を感じ
母親を解放するために、母親殺しを成し遂げた。そんな貴女が、貴女自身が!
まさか、『生贄』になるとは!到底、思いもよらないでしょう?!」
腹にたまっていたどす黒いものを口から吐き出すように、
エルフは高揚した声色で、高らかに笑いながら言い放った。
彼女は選ばれた。数ある候補の中から。
それは未知なる物への残酷とも言える好奇心。
従士は、従者である彼女に託していた「剣」をそっと取り上げた。
イリア「それはあなたがくれた・・・」
エルフ「私からのプレゼントであるこの『剣』を大切に使ってくれてありがとう!
まさかこの剣を選んでくれるだなんて。貴女の思いと貴女が屠った敵の血で
満たされたこの『生贄の剣』で、貴女は、晴れて常命の者でありながら
ボエシアの依代になるんですよ!」
そういうと、従士はイリアの胸に「生贄の剣」を突き刺したのだった…。
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マーキュリオと別れてから数日後のこと。
新しい従者「イリア」と私は北方の雪深い場所にいた。
道中において共闘するシーンも増えてきた頃だ。
「貴女と出会って自由になった気分。
塔から離れた場所が、こんなにも色々な事であふれているだなんて、
本当についてきてよかったわ。さて、次は、どこへ行くのかしら?」
次はいったいどんな事が起こるのか、赤いカーテンで
染まる空に煌く星と月を見上げながら、イリアはつぶやいた。
急な山の斜面を登ると目の前に一体の巨大な像が見えてきたことで、
より一層彼女の好奇心は膨れ上がった。
従士は、一心不乱にその像を目指し、急な階段を登っていった。
像の周りではパチパチと松明が音を立てて燃え、血なまぐさい異臭が立ち込めていた。
そして、この場所に居を構え、「かのデイドラ」を崇拝する人々は自らの”獲物”を
毎晩のように研ぎ澄まし、来るべき時に備えていた…。
イリア「この像は、一体何の像なのでしょう?信者の方々がたくさんいるようですね?」
エルフ「これは『デイドラ』の像。彼らは、この『デイドラ』の信者。
ほら、そこの石柱に触ってみてください。珍しい現象が起こりますよ。」
イリアは、『何が起こるのかしら』というように、指示した場所へ進み出た。
イリア「こ、これは?!」
彼女が石柱に触れるや否や、ふわりと彼女の身体は浮き、
まるで磁石で引かれるかのように石柱に貼り付けられ、身動きが取れなくなってしまった。
暗闇の中、石柱のまわりに付せられた円陣が、青白く、鈍く輝き始めたかと思うと
まるで誘蛾灯に群がる蛾のように、その輝きを目指して『デイドラ』の信者達が
集まり始めた。
エルフ「この像は『デイドラ』のボエシア」
そういうと、イリアは『デイドラ』の名を小さくつぶやくと
ぞっとしたまなざしで、信頼する従士を真っ直ぐ見つめた。
エルフ「私が『ダークライトタワー』に行った理由。初めて出会ったときに、
貴女は私にこういいましたよね…
『あなたが何のためにこの塔にきたかはしらないが』って…」
イリア「・・・・ま、まさか…」
エルフ「ええ、そのまさかですよ。はじめから、貴女に会うためだったんです。
こうして一緒に『この場所』に来てもらうために、私は
『ダークライトタワー』に行ったんです。
私とあなたの出会いは、『偶然』ではなく、『必然』だったんですよ。
だから、あなたから『一緒に行っても良い』と言われたとき、本当に嬉しかった。」
ボエシアの像を見上げながら、エルフは「私も本当はとてもつらいんです」と続けたが
その顔は裏切りが成功した事に対する喜びに満ちていた。
イリア「どうして。どうして私なの!?」
お約束ともいえる台詞ではあったが、
「あぁやっと言える」とばかりにくすくすと笑いながらエルフは答えた。
エルフ「貴女は、母親の命令で『生贄』を探していた。そして、そのことに疑問を感じ
母親を解放するために、母親殺しを成し遂げた。そんな貴女が、貴女自身が!
まさか、『生贄』になるとは!到底、思いもよらないでしょう?!」
腹にたまっていたどす黒いものを口から吐き出すように、
エルフは高揚した声色で、高らかに笑いながら言い放った。
彼女は選ばれた。数ある候補の中から。
それは未知なる物への残酷とも言える好奇心。
従士は、従者である彼女に託していた「剣」をそっと取り上げた。
イリア「それはあなたがくれた・・・」
エルフ「私からのプレゼントであるこの『剣』を大切に使ってくれてありがとう!
まさかこの剣を選んでくれるだなんて。貴女の思いと貴女が屠った敵の血で
満たされたこの『生贄の剣』で、貴女は、晴れて常命の者でありながら
ボエシアの依代になるんですよ!」
そういうと、従士はイリアの胸に「生贄の剣」を突き刺したのだった…。
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